牛首紬の歴史
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牛首紬の歴史

牛首紬の歴史

ー 牛首紬は山の文化 ー

牛首紬−。この不思議な名前は、生産地である石川県白山市・白峰の旧地名(牛首村)に由来しています。伝承によれば、平治の乱(1159年)で敗れ、 牛首に流れてきた源氏の落人、大畠某の妻女が機織の技を伝授したのがその始まりとされています。 白峰は、霊峰白山のふもとに位置する典型的な山村で、積雪が3〜4メートルにもなる有数の豪雪地帯です。一帯は傾斜地で耕地が少ないことから、古くから「出作り」という農業形態が発達しました。これは、家から十数キロ離れた山奥に小屋を持ち、春になると家族全員がそこへ移り住んで雑穀農業を行い、晩秋に収穫物を持って家へ帰るというものです。 出作り者にとって、重要なものが養蚕でした。貴重な現金収入の手立てとして必須の作業だったのです。できた繭は生糸になるものだけが売買され、それ以外はくず繭として扱われました。そのなかに、二匹の蚕が共同で一つの繭を作る「玉繭」がありました。この玉繭を主として織られてきたのが牛首紬です。 雪に閉ざされる長い冬、女たちは糸を紡ぎ、機を織りました。暖かな春を夢見るように、いとしい人を思うように一心に。それは世代から世代へと、時を超えてつながっていきました…。 自然を生かし、自然に生かされるという環境の中で、山村特有の暮らしを営んだ山の民たち。そんな彼らが育んだ山の文化のひとつが牛首紬なのです。
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